【GA4・探索レポート】複数種類のキーイベント(旧名:コンバージョン)を個別に表示する方法
Googleアナリティクス4(以下、「GA4」)の探索レポートで、キーイベント(旧名:コンバージョン)が含まれている表を作成する時に、皆さんはどのように設定されているでしょうか?
2024年3月下旬から、GA4の「コンバージョン」は「キーイベント」に名称が変更になりました。
キーイベントに設定しているイベントが1つだけの場合は、探索レポートでそれほど苦労することはありません。しかし、フォームの送信完了や電話番号のタップ数など、複数のイベントをキーイベントにしている場合は話が変わってきます。
本記事では複数の種類のキーイベントが設定されている場合に、下図のように探索レポートでキーイベントを個別に表示する方法をご紹介したいと思います。
GA4のキーイベントと探索レポート
GA4の探索レポートには「キーイベント」という指標があります。
例えば、どのような経路でウェブサイトに来て、セッションやユーザー数、キーイベントなどをまとめて見たい場合は、図1のようなレポートを作成することになります。
ただ、キーイベントが「お問い合わせフォームの送信完了」と「スマートフォンでの電話番号のタップ数」のように複数設定されているウェブサイトもあります。
その場合、図1の表にある「キーイベント」の指標ではすべてのキーイベントが合算された値となるため、各キーイベントごとにそれぞれの値を表示したい場合は別のアプローチが必要です。
そこでキーイベントだけをフィルタにかけて、図2のようにディメンションに「イベント名」、指標に「イベント数(またはキーイベント)」を設定して、各イベントのキーイベントを内訳を出すことになります。
※図2ではサンプルとして「tel_tap(スマートフォンでの電話番号タップ数)」と、「generate_lead(お問い合わせ完了数)」の2つをイベントが、キーイベントに設定されているという前提でご覧ください。
ただ、これでは流入元を知るための「デフォルトチャネルグループ」や「セッション」、「アクティブユーザー数」、「表示回数」などの他の指標と組み合わせをしていないため、ディメンションと指標を追加したのが図3になります。
※イベント名をキーイベントに設定しているものにフィルタをかけています。
なんとなく体裁は整っているように見えますが、図3の表の各指標をよく見てみると、「エンゲージメント率」が「100%」になったり「表示回数」が「0」になっているだけでなく、「アクティブユーザー数」や「セッション」も、図1より少なくなっています。これは、キーイベントを基準として算出された値になっているため、何かがおかしいわけではありません。そもそもこの表のディメンション・指標・フィルタの組み合わせが適切でないことが原因です。
そこで今回は、それぞれのキーイベントを個別に使えるようにすることで、他のディメンションや指標と組み合わせて利用できるように設定をしていきたいと思います。
カスタム イベントをGA4とGoogle タグマネージャーのどちらで作成しているかによって設定方法が異なるので、ご自身の設定と合致するものを参照してください。
GA4でイベント設定している場合
GA4でカスタム イベントを作成してキーイベントを設定している場合は、下記のステップで設定します。
GA4の左メニュー「管理」→「データの表示」→「イベント」→「イベントを作成」ボタンをクリックします。
カスタム イベントの一覧から、キーイベントに設定済みのイベントを選択します。
今回はサンプルとして、下記の2つのカスタム イベントがキーイベントとして登録済みであることを前提に解説していきます。
カスタム イベントの「一致する条件」はサンプル用に作成したウェブサイトにおける設定です。「一致する条件」はウェブサイトによって様々なのでご注意ください。
ページの一番下にある「修正を追加」ボタンをクリックして、パラメータに任意のパラメータ名(サンプルでは「contact_submit_count」)を入力して、値に「1」を入力して保存します。
キーイベントが複数ある場合は、それぞれのイベントで、上記と同様にパラメータを追加してください。ただし、パラメータ名はイベント毎に違う名前を入力する必要があります。
次に、もう1つのカスタム イベントである「tel_tap」も同様に設定をして保存します。ここではパラメータを「tel_tap_count」、値を「1」に設定しています。
パラメータの追加が完了すれば、カスタム イベントでの設定は完了です。
次の手順は、「GA4でカスタム指標を設定する」の項目へ進んでください。
Google タグマネージャーでイベントを送信している場合
Google タグマネージャーのGA4イベントタグを利用して、カスタム イベントをGA4に送信している場合は、下記のステップで設定します。
左メニュー「タグ」から、カスタム イベントを設定している「Google アナリティクス: GA4 イベント」タグをクリックします。
「イベント パラメータ」の項目をクリックすると、下にドロップダウンで入力欄が表示されます。
パラメータ名に任意の名前(サンプルでは「contact_submit_count」)を入力して、値に「1」を入力してから保存します。
続けて、「tel_tap」のイベントタグも同様の設定をして保存します。ここではパラメータ名を「tel_tap_count」、値を「1」に設定しています。
これでGoogle タグマネージャーでの設定は完了です。
念のため、プレビューで動作確認をして、問題がなければ公開をしてください。
次の手順は、すぐ下の「GA4でカスタム指標を設定する」の項目へ進んでください。
GA4でカスタム指標を設定する
GA4の左メニュー「管理」→「データの表示」→「カスタム定義」→「カスタム指標」タブ → 「カスタム指標を作成」ボタンをクリックします。
下記の通り、カスタム指標を作成するために必要な項目を入力して保存します。
※ は必須項目です。
指標名 ※ | お問い合わせ数 探索レポート内での指標名。 |
説明 | お問い合わせフォームの送信完了数。 探索レポート内での指標名のヘルプメッセージ。 |
イベント パラメータ ※ | contact_submit_count GA4のカスタム イベント or GTMのイベントタグで追記したパラメータ名。 |
測定単位 ※ | 標準 |
続けて、「tel_tap」でも同様の設定をして保存します。
指標名 ※ | 電話件数 |
説明 | スマートフォンで電話番号がタップされた回数。 |
イベント パラメータ ※ | tel_tap_count |
測定単位 ※ | 標準 |
これで、すべての設定は完了です。
探索レポートでの利用例
新規に作成したカスタム指標は、作成してからデータを蓄積が始まるため、キーイベントが貯まるまでしばらく待つ必要があります。カスタム指標を作成した以前の過去のデータは反映されないため注意してください。
それでは、ある程度キーイベントのカスタム イベントが発生したという前提で、探索レポートを作成します。
まずは新しいレポートを作成して、一番左の「変数」列 →「指標」の右にある「+」アイコンをクリックします。
「指標の選択」のスライド画面が表示されるので、「カスタム」タブをクリックすると、カスタム指標で登録した指標が表示されます。その中から使いたい指標にチェックを入れて「インポート」ボタンをクリックします。
新規作成したばかりのカスタム ディメンションやカスタム指標は、探索レポート内でディメンション・指標をインポートする時の一覧画面で、すぐに表示されない場合があります。
その場合は、一定時間待った後に再度アクセスする、ページをリロードする、ブラウザのキャッシュをクリアするなどの対応をすることで解消できます。
インポートした指標を、ドラッグ&ドロップまたはダブルクリックして、すぐ右の「設定」列の「値」に移動します。
カスタム指標を反映した後に表示される表が下図の通りになります。
このように設定をすると、他のディメンションや指標と組み合わせて、各キーイベントの値を利用することができます。どことなくUAのレポートの近いかたちですね。カスタム指標を追加した日以降は、各キーイベントの値を合計すると「キーイベント」の値と合致するところもポイントです。
1点だけ注意したいポイントとして、今回のサンプルではキーイベントが「generate_lead」と「tel_tap」の2種類とバリエーションが少ないサイトでしたが、キーイベントの種類が多いサイトでは、その分だけカスタム指標の数が増えることになるので注意してください。
キーイベントの種類の数を減らす工夫として、「その値は本当にキーイベントとして設定するべきか」を念頭に設計をすることをオススメします。私が過去に見たサイトの中では、問い合わせフォームの入力画面ページや、サービス紹介ページを閲覧しただけでキーイベントに設定している事例がありました(絶対ダメという訳ではありません)。
それぞれの数自体を知りたければ、キーイベントに設定しなくても、探索レポートでフィルタを工夫するなどをすれば知ることができます。原則として「キーイベントはウェブサイトの目標」であることを意識して設定してください。
今回設定したカスタム指標は、GA4の探索レポートだけでなく、Looker Studio や、前回ブログ記事でご紹介した「GA4 Magic Report」などでも活用できるので、ぜひ試してみてください。